2015年5月17日(日)                第35回みんなで憲法を考えてみる集い

日時  2015年5月17日(日)10時~12時15分

会場  小金井市市民会館萌え木ホール(商工会館3階)

演題  戦後70年・解釈改憲から明文改憲へ ~戦争のボタンを押すな!~

話す人 清水 雅彦さん(日本体育大学教授・憲法学)

■清水 雅彦さんプロフィール

 1966年兵庫県生まれ。明治大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。日本体育大学教授。専門は憲法学。主たる研究テーマは平和主義・監視社会論。日本民主法律家協会常任理事。戦争をさせない1000人委員会事務局長代行。

 著書に『憲法を変えて戦争のボタンを押しますか?』(2013年高文研)『秘密保護法から「戦争する国」へ』(2014年共編著、旬報社)ほか多数

当日の講演記録

当日の模様

戦争のボタンを押させないために、いま私たちに求められていることは

 安倍首相は、美しい日本、戦後レジームからの脱却、日本を取り戻す、この道しかない、と声高に叫びます。自民党の憲法改正草案をみれば、この国の将来像が分かります。憲法9条を否定し、米軍に追従して海外で戦争ができる国にすることです。

 憲法96条の改正発議要件の緩和に失敗するや、今度は閣議決定で憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しました。そして、いま海外で戦争参加できるための「戦争立法」法案を国会に提出しようとしています。もうここまで来ているのです。次は、いよいよ2016年夏の参議院選挙後に憲法改正と言われています。

 戦後70年築きあげてきた「平和国家」のブランドが、海外での一発の銃弾により壊されようとしています。戦争のボタンを押させないために、いま私たちに求められていることを清水雅彦さんに語っていただきました。

 清水さんは集団的自衛権の行使は憲法上許されず、海外の戦争に自衛隊を派兵する「戦争法案」は違憲である。閣議決定による憲法9条の解釈変更は立憲主義の否定であり、アメリカの戦争に日本が参加すれば自衛隊が他国民を殺し、自衛隊員が殺され、日本国内ではテロが発生して一般国民も死ぬことになる。安倍首相のいう「積極的平和主義」とは欺瞞で、こうした事態を招来する。本来の「積極的平和の追求」とは、憲法前文で言うように、構造的暴力(国内外の社会構造による貧困、飢餓、抑圧、疎外、差別など)のない状態をめざすことであり、武力・軍事ではなく、平和的・経済的・外交的手段によって達成するのが憲法9条

の精神だ、と語りました。


参加者アンケートのまとめ

【参加者数】

参加者 93

【参加者住所】

市内54人、市外39人 

【参加回数】

初参加14人 2回目8人 3回以上71人 

【アンケート回収数】

38枚(よかった37枚 ふつう0枚 よくなかった0枚 無回答1枚)

【講演を知った機会】(複数回答あり)

.郵送案内のはがき(26) 2.市民掲示板のポスター(5) 3.新聞折込のちらし(7) 4.HPで(4) 5.友人・知人から聞いて(1) 6.メディアの案内情報(0) 7.その他(3) 


参加者の声

1 とても勉強になりました。家に帰ってからもう一度よく読み直したいと思います。憲法は絶対に守らなくてはいけない。二度と戦争を経験させたくないと痛切に感じています。若い人を誘ってと先生がおっしゃたこと、とても大切だと感じました。

2 論旨が明確で体系的に理解できました

3 集団的自衛権を中心としたその他の法律との関連が、多少分かってきた。

4 難しいテーマですが、これからも関心を持ち続けたいと思います。

5 若者の接し方についてアドバイスをいただき参考になりました。しかし、私たちのような高齢者のなかでも多数は「憲法改悪」に賛成しているのが現状です。やはり、大衆は愚かなのかと私は感じています。愚かなのは首相のみならず、です。

日本の教育機関は充実していません。特に理工系の出身者は(私も理工系です)まともに憲法を勉強していないと思います。彼らはプライドのみ高くて、世界の理工系出身者のレベルからかけ離れて、低いレベルにあるようです。私は友人を説得するのに苦労していますが、今後も友人との話し合いを続けようと思っています。

6 非常に分かりやすくまとめられていたので聞きやすかったです。むしろ、こんなに整然とまとめて講演されたにもかかわらず、非常に広範な説明、論にならざるをえない現状に愕然とします。もっと細かく各項目についてお話を聞きたいと思いました。

7 テレビ、ラジオに向かって一人で怒っている日々でしたが、確認できるいくつかで胸がスーっとする思いでした。マスコミの不思議も常々感じていました。

8 運動論、労働組合論、国家独立論、沖縄問題をもっと伺いたかった。

9 日の丸、君が代を押し出してきたところ、天皇家の人々を「さん」から「様」に言い出したこと、周辺諸国に本当に「あやまっていない」「あやまれない」ことは、昭和天皇が本当の犯人であることを言えないからだと思う。戦争になったら貧乏人である私たちが最初に被害者になると思うのに、貧乏人はボーっとしすぎると思う。

10 人権を守ること。軍隊、武器をもつ必要はまったくない。

11 憲法、戦争放棄、集団的自衛権のことについて、問題点を整理して聴くことができました。最後の積極平和の話は、目からウロコが落ちた気がしました。ありがとうございました。

12 ご自身のご意見を正面からおっしゃってくださったところが、とても真摯でストレートでよかったです。胸のすく思いがしました。軍隊のない国家が世界で27か国もあることを初めて知りました。とても新鮮でした。天皇制を否定したことは痛快でした。

13 非常に有意義な講演でした。とても分かりやすい解説、語りでした。またレジメがすばらしい。きっぱりと攻めてくる国はないんだから、軍隊をなくす方向でと言われ、とても心強く、私自身は共感し、励まされました。

ただ、軍隊なくして攻められたらどうするんだ、と夢想する人たちの不安はなかなか消せないのでないかと思います。もっと説得する時間が必要ではないかと思います。尖閣での撃ち合い、南沙諸島での撃ち合いをイメージされるでしょう。心配している方の話も、もっと聞いてみたい気がします。そういう方が増えていると思うので。

14 労働組合員です。若手に対するアドバイスが参考になりました。子育て中の女性にも政治に興味を持って欲しいのですが…。

15 今までの講師のお話で一番よかった。

16 先生の説明、レジメともにとても分かりやすかった。

17 住んでいる小金井市内でこのような貴重なお話が聞けて、大変よかったです。改憲で憲法前文を全部なくそうとしているとは知らなかったので驚きました。あのすばらしい前文まで!

知らないことが大変多いな、と思いました。タバコのことや、国名についてなどの小さな矛盾も許さない姿勢がとても信頼がおけると感じました。

長い間、平和のための活動を続けてこられた大先輩に尻込みしてしまう気持ちは、若者ではないですが分かります。怖くないよ、という感じで接していくといいのではないかと。今の若い人たちはとても世代間の触れ合いに臆病です。

18 細かく安保法制について説明されてよかった。武力で(国際紛争が)解決したことはない(ベトナム、アフガニスタン、イラク…)。

19 若い人を運動に誘う秘策を伝授いただきました。安倍晋三は無責任な批判と聞く耳を持たず、戦争のできる国に変えようとしている。戦争になれば戦争屋は大変に儲かる。自民は利益集団で団結している。公明はカルトとしての「狂信集団」で、両者が結託して日本の民主主義は完全にアウトする。労働者なのに組合に入らない、組合が弱くなってブラック企業が跋扈している。自民のやりたい放題を止めさせなければ。

20 「中国や北朝鮮が攻めてくる」という妄想とファンタジーが土台の安倍政権に対しては、「世界はこう見ているよ」という海外識者やメディアの見方を提示するのがよいと思います。論理で押し返すのではなく、倫理、歴史で問うことが遠回りでも一番よいと考えます。

21 とても分かりやすかったです。組合の活動のことにしても、ご自分が身を持って動いていらっしゃるということをすばらしいと思いました。

22 とても分かりやすかったです。レジメも理解に役立ちました。憲法を遵守するということが、戦争の歯止めになるのにもかかわらず、時の政権の都合のいい政策はどんどん進み…。やはり、国民私たちにも責任があると思います。多くの人が自民党を政権に選んでしまったのですから…。そういう意味で、良くないと思ったことに対しても、抗議を続けていくべきであり、まずは憲法の内容をよく理解していきたいと思います。

23  膨大な広範なテーマなので、理解するのはなかなか難しく、1~2回話を聞いて分かるというようなものではない。それでも講演を聞いて、自分が分かっていないところがぼんやりと分かったことと、平和運動のなかの問題点がうっすらと見えてきた。今後、自分の中で理解を進めるための取っ掛かり口を教えてもらった感じでよかった。

24 私たちは今の安倍政権に不信感を持っているわけですが、改憲論者や集団的自衛権に賛成の立場の論者の講演を聞いてみたいと思います。

25 とてもよかった。これから自分で何ができるかの目標に向けて、役立ち参考になった。改めて憲法の大切さが分かった。

26  法律問題を含め、詳細な解説をして、その展開についてまで語られありがとうございました。法律問題は自分にとっては頭が痛いが、今の状況ではいっそう頭が痛くなることだが、先生の話で納得できるものが多分にあり、理解しやすい話とまとまりのある講話で、勇気を沸かせるものと思った。若い人に聞かせたい話である。ファシズムの高揚集団の行動を許さず、戦争勢力を封じ込めねば。

27 清水先生の人権論を教えて欲しい。

28 世の中、昔からすると犯罪がはるかに多くなった。そしてどんどん増え、国民が迷っているように見える。このことのまどろっこしさから安倍の理論が出るのでは。集団的より国民統制の方が恐ろしい世の中になる。これをどうしたらよいか。

最近マスコミに対して言論統制があるように思われます。アナウンサーが怯えながら話しています。この大事な時期に自由トークの社会問題を取り上げてなく、朝から晩まで吉本と食べ物の番組ばかり、実におかしい。

29 平和主義実現のための運動まで視野に入れたよい講演であった。市民自身の責任~市民自治という考えに通じるものですが~にも触れられたところもよかった。

30 今日のお話で憲法の深いお話しを伺えて本当に考えさせられました。若い者に伝えていきたいと思います。今年で80歳になります。戦争のために苦難を味わいました。子どもたちにはあのような苦しみをさせたくありません。感じているのは、私たち国民が選挙のとき、しっかり考えるべきだと思っています。

31 米軍基地は海外の戦争のために使われており、実際には日本を守るために使われていないことを多くの国民に知らせることが大事。

32 「人権と人権のぶつかり」という概念には再考の要あり。「人権」とは生まれながらに誰にも持っている権利であらゆる人が持っているもので、他の人権と衝突することはない。タバコを吸う権利は公共空間では、ない。他の人権の侵害であるから「特権」である。よってぶつかるのは「人権」と「特権」であると考えます。


■過去の講演記録■■■

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2016年12月4日(日)

午前10時~12時

ピースアクション講演会

「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」

場所 小金井市萌え木ホール

参加費 500円

主催 こがねいピースアクション2015実行委員会

1204内山宙さんチラシ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

過去の講演関係の

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