▶2011年12月11日                     第57回みんなで平和を考えてみる集い

日 時 12月11日(日)10時~12時

会 場 小金井市商工会館2階ホール

演 題 風化し忘却される戦争記憶をどのように「継承」するのか

     ~1941年12月9日・日米開戦から70年を迎えて~

話す人 君塚 仁彦さん (東京学芸大教授)

 

■君塚 仁彦(きみづかよしひこ)さんプロフィール

 1961年東京生まれ。東京学芸大学大学院修士課程修了。東京都豊島区立郷土資料館学芸員を経て、東京学芸大学教員。博物館学、歴史学専攻。研究課題は戦争記憶・植民地記憶・歴史教育の場としての博物館。

 主な著書に「戦争記憶の継承ー語り直す現場から(共著)」(社会評論社)、「平和概念の再検討と戦争遺跡(編著)」(明石書店)、学会発表などに「歴史博物館で戦争の史実を展示し、その体験を伝え、教育していくということー沖縄戦の記憶継承をめぐる日本の課題ー」「近代日本の戦争・植民地記憶と東北アジアの「平和」」など。

【当日の模様】

■「過去に目を閉ざす者は、結局のところ未来にも『盲目』となる」

 今から70年前の1941年12月、日本はアジア太平洋戦争を引き起こしました。その結果、内外にもたらした未曾有の惨禍に対する反省から、戦争の抑止力として誕生した憲法9条は、この間、さまざまな改(壊)憲潮流にさらされてきました。

 教育面から戦争の記憶の削除に加担する新しい歴史教科書をつくる会系の沖縄県八重山教科書問題や、日の丸・君が代強制問題、大阪府の橋下知事・維新の会による教育基本条例制定の動きなどについても強い危機感を持たざるをえません。

 「いつか来た道」を繰り返さないために、アジア太平洋戦争開戦日の12月の「みんなで平和を考えてみる集い」は、地元の東京学芸大学の君塚仁彦さんを迎えて、風化し忘却される戦争の記憶をどのように「継承」するのかについて語っていただきました。

【参加者アンケートのまとめ】

 

【参加者数】

参加者 51人

【参加者住所】

市内34人 市外17人

【参加回数】

初参加1人 2回目2人 3回以上48人

【アンケート回収数】

20枚(よかった19枚 ふつう0枚 よくなかった0枚 無回答1枚)

【講演を知った機会】(複数回答あり)

.郵送案内のちらし(11) 2.市民掲示板のポスター(2) 3.新聞折込のちらし(2) 4.友人・知人から聞いて(2) 5.メディアの案内情報(0) 6.その他(1) 

 

【参加者の声】

 

1 博物館についての認識を深めることができた。戦争記憶を継承し続けることは至難のことだと思う。こうした講演会はその有効手段。ぜひ継続されることを願います。

2 今から何をしたらいいのか!見学の場所も、九条の会こがねいでも考えてみたいです。

3 やはり実際に自分の目、耳で得た話はスゴイ!

4 博物館の見学に行ってもあまり意識せず拝見していた気がします。特に歴史博物館は「アーそうだったのか?」と感じるくらいの関心度でした。加害博物館との見方ではなく、被害としてしか見ていなかった勝手さを、君塚先生の話で考え直さなくてはと思いました。親から子への教育も大切だが、学校での教育の必要さではないでしょうか、近現代史の重要さをしっかり教育して欲しいと思います。

5 今年の夏、戦争映画に激しい拒否反応を示した姪に驚きました。実際にあったことだから、見なくてはいけないことだ、と頭ごなしには言えませんでした。今の若い人たちにどんな言葉で伝えなくてはいけないのか、今日改めて考える必要があると思いました。

6 今まで何気なく博物館を見ていましたが、展示する側の意図が大きく反映されているということをよく認識する必要がある、ということを感じました。

7 ていねいな資料を用意していただきありがとうございました。大変分かりやすいご講演でした。

8 日本人に欠けている何かを感じました。どうすればよいのでしょうかね。答えが出せません。

9 国内にある戦争に関する博物館が、こんなに多数あることに驚かされました。今後機会をつくって見学して、改めて「加害」の責任を考えてみたいと思いました。継承の重要さがよく理解できました。

10 1961年にお生まれの君塚先生のお話し興味深く伺いました。私は1929年生まれの老婆ですが、私の父は1901年生まれで銀行員でした。銀行員として1937年から二年間アメリカニューヨークに行っていましたので、アメリカと戦争することに反対でしたが何回か応召しましたし、そのときも解除のときには銀行の仕事でビルマや長江、北京などに行っていました。幸いなことに敗戦後二年して中国から帰ってきました。追放になりました。私の主人も1928年生まれでしたが、昭和天皇は戦争責任があると申しておりました。私の子ども二人は今の時代を好みませんので独身で子供を欲しませんし、私も孫がないので安心して死ねます。

11 学芸大生の反応の話は少々ショックでした。若い人に継承していくことの大切さを改めて思いました。佐倉の歴史博物館はいつかぜひ行ってきます。

12 想像力・共感力をどう育むのか、忙しい中で自分もすり減っていると感じているなかで課題です。上から与えられる「数値評価」中心主義をどう切り換えるかも大切ですね。

13 70年前の戦争を思い学ぶことの多い講義だった。憲法、沖縄の基地など未解決の問題が多い。博物館学についても世界の現地を映像で知り良かった。

14 最近の日本の風潮に危惧を感じています。若者たちが新聞を読まなくなったり、情報がインターネットに偏ったりしています。この事態をどう考えていくのか戸惑っています。博物館の果たす役割は大変参考になりました。

15 戦後、戦争被害について何十年経過しても訴え続けられる日本とドイツの違いを、いつも疑問に思って、ドイツは戦後処理をどのようにしたのかと思っていました。戦争の本は多読した方ですが「躓きの石」などの小さな博物館などは全く知らず、感動的でした。ドイツの人にとっては、ごく当たり前のことなのかもしれない。国の問題なのか国民性(民族性)の問題なのか。韓国を訪問した子どもが、近現代史歴史博物館があり(植民地化され戦争を忘れないための教育であったにしても)、日本には戦争についての展示がないと言っているのを思い出しました。佐倉の博物館を、さっそく教えたいと思います。今日は他の集会と重なり合って来られなかったので、資料を見せて欲しいと言われてきたので、資料は大変詳細で参考になると思います。ありがとうございました。

 

■過去の講演記録■■■

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2016年12月4日(日)

午前10時~12時

ピースアクション講演会

「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」

場所 小金井市萌え木ホール

参加費 500円

主催 こがねいピースアクション2015実行委員会

1204内山宙さんチラシ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

過去の講演関係の

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