▶2012年5月6日                                 第32回みんなで憲法を考えてみる集い

日 時 5月6日(日)10時~12時

場 所 小金井市市民会館萌え木ホール(商工会館3階)

演 題 橋下大阪市長の「ハシズム」は、なぜ問題なのか

    ~大阪・名古屋・東京を結ぶ危険な兆候と憲法問題~

話す人 高橋 哲哉さん(東京大学大学院教授) 

■高橋 哲哉(たかはしてつや)さんプロフィール

 1956年福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。哲学者。20世紀のヨーロッパ哲学を研究しながら、戦争責任や歴史認識の問題で積極的な発言を行っている。福島第2原発に近い富岡町で幼少期を過ごす。2012年2月25日、都内で開催された「原発を問う民衆法廷」で証人として発言する。

 著書に「靖国問題」(ちくま新書)、「国家と犠牲」(NHKブックス)、「犠牲のシステム 福島・沖縄」(集英社新書)、編・著書に「憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本」(日本評論社)など

■民主的なワイマール憲法下でヒトラーナチスは政権を取った

 いまやすっかり政権交代の意味が色あせてしまい、既存の政党、政治家への幻滅と時代の閉塞感打破への期待からか、橋下徹大阪市長と「大阪維新の会」に注目が集まっています。

 しかし、市職員の思想調査や教員への日の丸・君が代強制、従わない者は免職、という橋下氏の人権侵害・憲法違反の独裁手法は、「ハシズム」と言われて懸念されています。

 いまは、ワイマール憲法下でのヒトラーナチス台頭の時代に似ている、と危ぶむ声が多い。5月3日の憲法記念日にあたって、なぜ橋下氏に大衆の支持が集まるのか、彼のめざす社会の問題点について憲法問題として高橋哲哉さんに語っていただきました。

【参加者アンケートのまとめ】

【参加者数】

参加者 160人

【参加者住所】

市内99人 市外61人

【参加回数】

初参加47人 2回目15人 3回以上98人

【アンケート回収数】

53枚(よかった50枚 ふつう2枚 よくなかった1枚)

【講演を知った機会】(複数回答あり)

.郵送案内のちらし(25) 2.市民掲示板のポスター(6) 3.新聞折込のちらし(8) 4.友人・知人から聞いて(6) 5.メディアの案内情報(4)

6.その他(4)


【参加者の声】

1 「ハシズム」の危険性と現在の憲法を取り巻く問題を分かりやすくお話しいただきました。

2 9条守るのはいいが、中国、北朝鮮などの脅威からどう国を守ったらよいのですか?

3 危険性が指摘されている「ハシズム」が支持されている背景は何だろうか。そこを改めて考えてみたいと思いました。大変分かりやすい講演でした。ありがとうございました。

4 ガレキ処理など通常の考えではもっともと思われることの裏にも利権が絡んでいるのが分かった。こうしたことはふつう見抜けないので啓発が大事と思う。

5 最初は期待していた橋下さんでしたが、この頃?という感じがしてきており、そのために今日参加しましたが、「ハシズム」ということの危うさを実感として感じられました。参加してよかったと思っています。日常生活のなかで憲法というものは忘れがちに生活してきたということの危険性を、今日は強く感じさせていただき感謝しています。これからも多くの方々に先生の主張が伝わっていってほしいと思っています。

6 教育公務員に対する考え方には、少し違和感を持ちます。学校の卒業式に呼ばれて大阪、神奈川のいくつかの学校へ行った際、高校長対職員の関係が目に見える形でありました。普通の組織であれば、上司、部下の関係が自然だと思うのですが、部下が上司の言うことをきかない、ことごとくというのはいかがなものかと思っています。思想信条の自由は当然だとしても「自由」というものを違ってとらえているのではないか、と疑問に思っているのですが・・・。

7 現在の社会、政治状況を知るためのすばらしい講演でした。ぞっとするような危機感を改めて実感しました。この状況を変えるため何ができるのかを知り、行動したいと思います。

8 橋下市長の言動の問題点(というか訳のわからなさ)を改めてはっきりさせることができて、よかったと思います。ただ、国民の間にそれを容認する雰囲気が出てきていることをどう考えたらよいのか、という気持ちでいます。

9 震災と憲法改正の結びつきを意図していることの指摘ありがとうございました。

10 テレビで見たり本で読むだけで、今回初めて高橋先生のお話を生で耳にしました。納得しかねるお話はひとつもありませんでした。十分満足できた講演会でありました。

11 橋下市長と他の自治体首長の取り組みの違いについて、もう少し触れて欲しいと思いました。

12 橋下氏の言動を関連付けて知ることが出来ました。自分と違う主張を持つ者を抹殺しようとするのは民主主義とは相いれません。こんな人がなぜ弁護士になったのか不思議です。歴史を学ばなければならない---同感です。

13 日本で起こっていることは決して対岸の火事ではないと痛感しました。高橋先生のお話は私にとって、私のこれからの読書などにおいて有意義なもので腑に落ちました。ありがとうございました。「小金井を住みよくする会」の活動に敬意を表したいと思います。

14 大阪府の教育基本条例改悪のお話は、恐ろしさを感じました。

15 原発問題=憲法、特に第9条問題=大阪橋下氏の言動問題の関連が分かりやすく説明されていてよかった。今回を総論として位置付けて各論としての個別を掘り下げた議論を期待したい。

16 とてもよかった。毎回この会の講座を楽しみにしています。今回は友人と一緒に来ました。ありがとうございました。

17 憲法を守るための活動を強化すべきと思った。

18 「大阪教育基本条例」について詳細に知ることが出来ました。「ハシズム」とファシズム、マスコミと一体化してつくりあげられていく橋下人気。その言動は極端もあり笑ってしまうことが多いが、笑って見過ごしてはいけないと思います。

原発を見過ごしてきた年代、時代を見る目、考える力をつけていかなければいけないと心に決め、いろいろなところに参加し「NO」のときは「NO」を言っていきたいと思います。9条は日本のもっとも誇れるものだと思います。

大変勉強になりました。今までで一番。ありがとうございました。

19 ガレキの広域処理について高橋先生の意見に賛成です。日本ヴィジュアルジャーナリスト協会(JVJA)の野田雅也さんが詳しく調べていらっしゃって、その話をうかがいました。東京では処理業者を公募したが、1日100トンの処理能力がある業者という条件が付いており、その条件に当てはまるのが1社だけ、それが東電の子会社だったそうです。さらに処理費用に岩手県や宮城県に向けられた1兆円の助成金が支払われるそうで、つまり地元で使われるべきお金が他都府県に流れてしまう、という大きな問題点があるそうです。

また橋下市長があまりに目立つので東京がまだましのような感じがしてしまいますが、東京でも教育を中心にかなり危うくなっていると思います。(日の丸・君が代の処分以来、東京都と教育現場(学校)の関係は命令する者と命令されるものという関係になったのだと思います。)これらの動きにどう対処していくのか、経済的な状況も考慮しつつ(不満を利用されないように)」考えなければならないと思います。

20 「ハシズム」の実態の分析、明確に方向性を示し分かりやすかった。

21 橋下氏の問題点がはっきりした。強いリーダーシップに魅了されがちだが、言葉の裏にこんなにも危険な思想が現れていたのが明確にされた。高橋先生のお話はとても分かりやすかった。また聞きたいと思います。

22 橋下市長の考え方、行動や憲法について学ぶことの多い講義でした。

23 非常に良かった、現下の問題点がよく分かった。講師が素晴らしかった。これからも立派な講師を選んでほしい。

24 論点が整理されていて、大変分かりやすい講演でした。多少は知っていたつもりでしたが、改めてハシズムの危険性、現状の政治状況の危険性がよく分かった。

25 橋下大阪市長のさまざまな発言に対して、憲法改正(改悪)の恐ろしさがよく分かった。

26 「ハシズム」に反対する統一戦線が必要ではないでしょうか。ドイツの経験の重要なことは、ドイツ共産党の社会ファシズム論の誤りと社会民主党の反共主義の誤りを今こそ日本で学ぶべきではないでしょうか。

27 今回初めて参加しました。時宜を得た内容でたいへん勉強になりました。

28 「決定できるシステム」の声高な主張には危険を感じます。もちろん震災からの復旧、復興は急がなければなりませんが、じっくりと議論を重ね検討していくことが民主主義の基本かと思っています。

29 橋下大阪市長が危険な人物であることが十分に分かった。憲法9条は改正すべきです。国際的に行動できるようにすることと、自国の防衛に使う軍隊(実行部隊)を持つことは必要です(別組織にすることが良いのですが)。

30 橋下本人は、戦中の弾圧で国家権力に抹殺された人々をどのように思っているのか。天皇、君が代、日の丸がどんなにアジアの人々を傷つけたか、国民はなにひとつ自由にものが言えなく、小学生の子どもでさえふざけて天皇を冷かして往復びんたを喰わせられていた。橋本は言論弾圧の恐ろしさが分かっていない。弁護士のくせにもっと歴史を勉強してもらいたい。今日の日本は衆愚政治で、東京も大阪も独裁政治の始まりで戦前戦中の悪夢を再現しようとしている。日本国民はいつも騙されっぱなしで「なさけない」。

31 話が分かりやすかった。内容がタイムリーで、質問に対する答えも真摯でていねいでした。

32 高橋先生のことは、書評等でよく聞いたり見たりしますが、直々にお話を伺う機会が欲しかったので、今回これが実現できました。とても分かりやすい内容で私には良かったです。私としてあまり詳しくなかったガレキ処理の広域化、橋下氏の教育論、教育基本条例改正に関し説明されたのはとても助かりました。また、現在、改憲論が再び動き出していることに驚きました。こんな状態になっていることに気づきませんでした。高橋先生、本日はありがとうございました。

33 貴重なお話しありがとうございました

34 本質的なところを考えるための材料をたくさんいただけました。

35 ハシズムのエッセンス、めざす方向を説得的に語っていただいたことに大きな価値があった。橋下のめざすプロセスは、国政の掌握であり選挙で多数を占めた時にナチスの「授権法」と同等のものをめざすであろう。講演内容における高橋先生の展望を私も共有する。自民党も橋下にすり寄っていくであろうし、他の保守など群小勢力もその主流となるよう動くであろう。

またこの時期に憲法改正を論点に登場させたい勢力があり、その動きが相当に台頭してきたことを指摘されたことは大きい。石原、橋下、河村に共通するのは、民衆に分かりやすい「敵」を定義してそこに民衆のルサンチマンを糾合させていくやり方であろう。

36 高橋先生のお話は、そのまま本にできるくらい整った分かりやすいものでした。またお話を伺いたいです。

37 ファシズムはじわじわと台頭してくることを強く感じました。若い人たちが橋本氏に期待する気持も理解できます。不安な気持ちを利用されないようにしっかり見、聞き、考え行動すべきだと思います。会のみなさまありがとうございました。

38 「9条の会」に関係しているので大変よかった。今の時期、大変危険なときと感じています。大阪の橋下イズムについてもよく分かりました。しかし、そのようなことが市民に受け入れられていることを大変心配しています。いま、憲法改正ではなく、3.11で起こったことについて責任をもって対処することであると思います。

39 非常に勉強になりました。きょう提起された問題ひとつひとつ深めていきたい。

40 とかく感情的にぶつかってしまう日本の今の流れのなか、理論的に思考する方法を改めて聞き入りました。いま9条は危ないということをさらに心にとめて自分の頭で考えるようにアンテナをしっかりと張っていきたい。今の日本は本当に危ない。世間話で9条を語り合えることを望みながら力を尽くしていきたい。

41 この講演会は毎回興味を引き参加希望でしたが、都合が付かず今回初めて参加できました。当日は超満員で、他の方もその課題に興味を持って来られたものと思います。結論としては、誠に残念ながら期待外れで、満足できるものではありませんでした。ハシズムの批判の大部分は、橋下徹氏の言動の枝葉末節に係るもので基本的な思想論ではありません。相手の言動に対するテニオハ(テニオハに対する批判と言ってもよい)への批判では、大人の説明として不足です。相手の考え方、思想に対する批判であるべきでしょうが、その中身を把握できていないのでしょうか?著書「犠牲のシステム」を期待して読みましたが、同様の読後感を得ました。もう少し中身に突っ込んだ説明を今後は期待したいと思います。


■過去の講演記録■■■

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2016年12月4日(日)

午前10時~12時

ピースアクション講演会

「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」

場所 小金井市萌え木ホール

参加費 500円

主催 こがねいピースアクション2015実行委員会

1204内山宙さんチラシ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

過去の講演関係の

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